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江 戸 の 生 き も の 学 ・ 六

日本の春を埋めつくすあの桜は、江戸の植木屋の村から広まりました。しかも、すべての木がたった一本から分けられた「クローン」です。

いまのことば

ソメイヨシノは江戸末期、染井村の植木職人たちから広まった品種。
種では殖えず、接ぎ木で殖やす——全国の木はみな同じ遺伝子を持つ。

一本の木の子孫たち

江戸の染井村(いまの東京・駒込あたり)は、植木職人が集まる園芸の一大産地でした。ここから広まった桜がソメイヨシノ。成長が早く、花が葉より先に咲いて木全体が花色に染まる——見栄えの良さで、明治以降、全国に植えられました。

ソメイヨシノは種からは同じものが育たないため、接ぎ木で殖やします。つまり全国のソメイヨシノは、遺伝的にはほぼ同一のクローン。だから同じ町の木はいっせいに咲き、いっせいに散る——「桜前線」がきれいな線を描くのは、このためです。

江戸の職人の技術が、現代の春の風景と、天気予報の開花予想まで作っていたのです。

考えてみよう

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——「ソメイヨシノ」の名は染井村と吉野山(桜の名所)から。近年は病気に強い品種への植え替えも進んでいます。クローンゆえの弱さ——考えてみようの答えのひとつが、現実に起きています。
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