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江戸の生きもの学・四

夏の夕方、天秤棒に虫かごを下げた虫売りがやってくる。スズムシ、マツムシ、キリギリス——江戸の人は、虫の「声」を買って楽しみました。

いまのことば

虫売りとは?

江戸には鳴く虫を売る「虫売り」という商売があった。
虫の音を音楽として楽しむ文化は、世界でも珍しい。

声を聞き分ける耳

リーンリーン(スズムシ)、チンチロリン(マツムシ)——日本人は虫の声を聞き分け、名前をつけ、かごに入れて枕元に置きました。江戸の虫売りは夏の風物詩で、虫の音は「買うもの」になるほどの立派な娯楽だったのです。

虫の音を「声」として楽しむ文化は、世界的に見ると珍しいと言われます。多くの言語圏では雑音として扱われがちな音を、日本語は「虫の声」と呼んできました。『枕草子まくらのそうし』や和歌の昔から続く、耳の文化です。

秋の夜、外で1分間、耳をすませてみてください。何種類の声が聞こえるか——それが今日からできる、千年続きの観察です。

考えてみよう

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——スズムシが鳴くのはオスだけ。羽をこすり合わせて音を出し、メスを呼んでいます。つまりあの声は、虫たちの歌でありプロポーズ。買われていった虫かごの中でも、彼らは歌い続けていました。
この記事について
この記事は、江戸時代の道具・技術・遊び・くらしを紹介したものです。もとになる一冊の古典があるわけではありません。
本文は株式会社士心が作成したものです。年号や数値は、読みやすさのために概数で書いている箇所があります。
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