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江 戸 の 生 き も の 学 ・ 三

花びらが細く裂けたもの、渦を巻くもの、まるで朝顔に見えないもの——江戸の人々は、珍しい朝顔を咲かせる競争に熱狂しました。

いまのことば

江戸時代、朝顔の突然変異を集めて珍しい花を咲かせる「変化朝顔」が大流行。
遺伝の仕組みが知られる前に、人々は交配と選抜を実践していた。

長屋のバイオテクノロジー

文化・文政のころ(19世紀初め)を中心に、江戸では朝顔ブームが何度も起きました。ふつうの朝顔から、まれに現れる変わり者——葉が縮れる、花が裂ける——を見つけてタネを取り、かけ合わせ、もっと珍しい花を目指す。品評会が開かれ、番付まで作られました。

メンデルが遺伝の法則を発表するより前に、江戸の育て手たちは経験から「変わりものの親からは変わりものが出やすい」ことをつかんでいました。科学の言葉になる前の科学が、長屋の鉢の中にあったのです。

朝顔が小学一年生の教材なのは、日本人がいちばん長くつきあってきた「実験植物」だから、かもしれません。

考えてみよう

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——変化朝顔の系統は、いまも大学や愛好家の手で保存されています。国立歴史民俗博物館などで夏に展示されることがあり、江戸の「作品」の子孫を実際に見られます。
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