二
江 戸 の 生 き も の 学 ・ 二
「東風凍を解く」「桃始めて笑う」「蛙始めて鳴く」——昔の暦は、およそ五日ごとに、生きものの様子で季節を告げました。
いまのことば
一年を24に分けたのが二十四節気、さらに細かく72に分けたのが七十二候。
五日ごとの自然観察が、暦そのものだった。
五日ごとの発見
立春・春分・夏至・冬至——二十四節気は聞いたことがあるはず。それをさらに3つずつに割った七十二候は、「魚氷に上る」「燕来る」「蟋蟀戸に在り」と、ほぼ五日ごとに生きものの動きで名づけられています。
つまり昔の暦は、全国民が参加する自然観察ノートでした。カレンダーを見る代わりに、ツバメの初飛来やカエルの初鳴きで季節を知る。理科でいう「生物季節観測」を、暮らしとしてやっていたのです。
気象庁も長らく、桜の開花やウグイスの初鳴きを公式に観測してきました。七十二候は、いまも続けられる「五日ごとの自由研究」です。
考えてみよう
- 問一今日はどの候にあたるか、調べてみましょう。外の生きものと合っていますか。
- 問二あなたの町だけの「七十二候」を、ひとつ作ってみてください。
- 問三五日ごとに同じ場所を観察すると、何が見えてくるでしょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——七十二候の名前は中国から伝わったあと、日本の気候に合わせて何度も改訂されました。「桃始笑(ももはじめてわらう)」——花が咲くことを「笑う」と書く感性は、日本版ならではです。