七
江 戸 の 食 ・ 七
味噌も、しょうゆも、ぬか漬けも、甘酒も。江戸の台所の味は、目に見えない小さな生きものたちが作っていました。
いまのことば
発酵は、麹菌や乳酸菌が食べものを変身させる働き。
寒い冬は雑菌が少なく、味噌の仕込みに最適の季節だった。
小さな料理人たち
蒸した米に麹菌(こうじきん)を育てると、でんぷんを甘みに、たんぱく質をうま味に変える力を持つ「麹」になります。これに大豆と塩を合わせてじっくり待つと味噌に。ぬか床では乳酸菌が野菜を漬物に変え、ついでに酸っぱさで悪い菌を寄せつけません。
味噌の仕込みは寒仕込み——冬が定番でした。寒さで雑菌の活動が鈍るあいだに麹を落ち着かせ、春から夏の温かさでゆっくり熟成させる。冷蔵庫のない時代の、見事な温度管理です。
ヨーグルト、チーズ、パン。世界中の台所に発酵の料理人はいますが、麹を自在に使いこなした和食の発酵は、世界でも独特です。まずは甘酒(米麹と炊飯器でできます)から、小さな料理人と働いてみませんか。
考えてみよう
- 問一家の台所の「発酵食品」を全部挙げてみましょう。いくつありましたか。
- 問二「腐る」と「発酵する」の違いは何でしょう。
- 問三炊飯器の保温で作る甘酒に、おうちの人と挑戦してみましょう(作り方を調べて計画から)。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——麹菌(ニホンコウジカビ)は「国菌」——日本の菌、と呼ばれることがあります。和食の土台を支えるこの菌は、長い年月をかけて人と共に暮らすうちに、毒を作らない安全な菌になったと考えられています。