六
江 戸 の 食 ・ 六
あなたの家のお雑煮は、四角い餅ですか、丸い餅ですか。すましですか、みそですか。——その答えで、家のルーツが見えてきます。
いまのことば
雑煮は、東の角餅すまし・西の丸餅みそが大きな傾向。
境目は天下分け目のあたりと重なると言われる、食べる日本地図。
お椀の中の地図
おおまかに言って、東日本は四角い切り餅を焼いて、すまし汁。西日本は丸餅を煮て、みそ仕立ての地域が目立ちます。切り餅は、江戸の人口爆発の中で「のし餅を切り分ける」効率から広まったといわれます。丸餅は「円満」の縁起をかつぐ、古くからの形です。
境目はおよそ関ヶ原のあたり——天下分け目の古戦場と食文化の境が重なる、と昔から話の種になってきました。さらに細かく見れば、あん餅雑煮(香川)、鮭といくら(新潟)、はぜだし(仙台)など、一椀ごとに土地の歴史が入っています。
お正月に親戚が集まったら、それぞれの家の雑煮を聞いてみてください。お椀の中に、家族の移動の歴史——小さな日本地図が見えてきます。
考えてみよう
- 問一あなたの家の雑煮のレシピを、聞き書きで記録してみましょう(餅の形・汁・具)。
- 問二父方と母方で雑煮が違う家もあります。どちらを受け継ぐか、どう決まったのでしょう。
- 問三「効率の角餅」と「縁起の丸餅」。食べものの形が決まる理由について考えてみましょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——雑煮の調査は、民俗学の定番テーマです。全国の雑煮マップを検索して、自分の家の位置を確かめてみてください——地図どおりの家も、引っ越しの歴史で「例外」になった家も、どちらも面白い発見です。