五
豆 腐 百 珍 を 作 る ・ 二
熱したごま油に、水を切った豆腐をくずして入れると——バリバリッ!と雷のような音が上がります。その音が、そのまま料理の名前になりました。
いまのことば
雷豆腐は、ごま油で豆腐を炒めて、しょうゆで味つけする一品。
鍋から上がる音が雷に似ていることから、名がついた。
作ってみよう
- 豆腐一丁をキッチンペーパーに包み、皿をのせて15分ほど水切りする(ここが成功の鍵)。
- フライパンにごま油を熱する。音が出るのはここ——水気と油がはじけ合う音です。おうちの人と、はねに注意。
- 豆腐を手で大きくくずして入れ、あまり触らずに焼きつける。
- 水気が飛んだら、しょうゆをまわしかけ、あれば刻みねぎとかつお節。ご飯にのせても美味。
※ 火と包丁を使うときは、必ずおうちの人といっしょに。分量は目安です。味を見ながら調えるのも、料理の学びのうちです。
味の背景
豆腐の水分がごま油の中ではじける音——それを「雷」と聞いた江戸人の耳が、この料理の一番の調味料です。料理の名前に音を使う遊び心は、百珍という本の性格そのものです。
水切りをさぼると音が大きすぎて油がはね、味も水っぽくなります。「なぜ水を切るのか」を音と味の両方で体験できる、理科実験のような一品です。
考えてみよう
- 問一水切りあり・なしで音はどう変わるか(安全に注意して)比べてみましょう。
- 問二音・見た目・香り——味以外の要素は、おいしさにどれくらい関係しているでしょう。
- 問三あなたが新しい料理を発明したら、どんな「音の名前」をつけますか。
作って食べてから考えると、答えは舌の上に見つかります。
豆知識——落語「雷豆腐」の演目名にもなっているこの料理は、江戸の庶民の定番でした。安い豆腐が、油としょうゆで飯の進む一品になる——百珍の知恵は、物価高の今こそ効きます。