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豆腐百珍を作る・一

豆腐百珍とうふひゃくちん』の「尋常品」——ふだんの部の代表が、湯やっこ。材料はたった三つ。豆腐と、昆布と、水。だからこそ、ごまかしがききません。

いまのことば

豆腐百珍の湯やっことは?

湯やっこは、昆布を敷いた湯で豆腐を温めるだけの料理。
いちばん簡単で、いちばん豆腐の味が分かる。

作ってみよう

  1. 鍋に水を入れ、昆布を一枚しずめて30分ほど置く(時間があれば、が江戸流の丁寧さです)。
  2. 豆腐一丁を大きめに切って、そっと鍋に入れる。
  3. 弱めの火にかける。ぐらぐら煮立てないこと——豆腐がゆらり、と揺れるくらいで止める。
  4. 豆腐があたたまったら、すくって器へ。しょうゆ少々、あればかつお節や刻みねぎを。

※ 火と包丁を使うときは、必ずおうちの人といっしょに。分量は目安です。味を見ながら調えるのも、料理の学びのうちです。

味の背景

煮立てないのは、豆腐に「す」が入って固くなるから。「待つ」と「止める」だけが腕の見せどころという、引き算の料理です。

昆布のうま味(だしの章で学んだグルタミン酸)が湯にとけ出し、豆腐をそっと包む。食べ比べてみてください——昆布ありとなしで、同じ豆腐の味が変わります。

考えてみよう

作って食べてから考えると、答えは舌の上に見つかります。

豆知識——『豆腐百珍とうふひゃくちん』の百品は「尋常品」から「絶品」まで6ランク。湯やっこは誰でも作れる尋常品ですが、本の中で軽んじられてはいません。基本のうまさを知る者だけが、絶品の値打ちも分かるからです。
原文について
この記事が扱っている『豆腐百珍』は、1782年(天明2年)刊。豆腐だけで100品の料理を集めた本です。
原本(江戸期などの版本)は、早稲田大学図書館 古典籍総合データベース『豆腐百珍』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。 表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。
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