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実語教・第三十八句

ただ しょく あれば ほう あり但食有れば法有り
また み あれば めい あり又身有れば命有り
なお のうぎょうを わすれざれ猶農業を忘れざれ
かならず がくもんを はいすること なかれ必ず学文を廃すること莫れ

原文 但有食有法 又有身有命 猶不忘農業 必莫廃学文

お子さんと保護者の方へ。実語教・第三十八句を、いっしょに確かめましょう。

いまのことば

但食有れば法有りの意味は?

食べていくには、食べていくための務めがある。
体があるかぎり、命を養う仕事を忘れてはいけない。
そのうえで、決して学びをやめてはいけない。

きょうの暮らしでいうと

結びを目前にして、実語教じつごきょうは地に足のついたことを言います。まず、ちゃんと食べて、ちゃんと働け。そのうえで、学びを捨てるな。

「農業」は、当時のほとんどの人にとって「毎日の仕事」のことでした。学問は、仕事をしなくていい人の贅沢ではない。畑を耕しながら、店番をしながら、それでも学びをやめない——そういう人のためにこの教科書は書かれたのです。

暮らしと学びは、どちらかを選ぶものではなく、両輪です。忙しいから学べない、のではなく、忙しい人こそ、学びが暮らしを助けてくれます。

考えてみよう

  • 問一「毎日やるべきこと」と「学び」を、あなたはどう両立していますか。
  • 問二働きながら学び続けている大人を、身近に知っていますか。
  • 問三「忙しい」と「学べない」は、本当に同じことでしょうか。

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——二宮尊徳にのみやそんとく(金次郎)の像が薪を背負って本を読んでいるのは、まさにこの句の姿です。働くことと学ぶことを両方手放さなかった人として、江戸の終わりから明治の日本で敬われました。
原文について
この記事が扱っている『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。 表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。

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