実語教・第三十三句
あくを このむ ものは わざわいを まねく悪を好む者は禍を招く
たとえば ひびきの おとに おうずるが ごとし譬えば響きの音に応ずるが如し
原文 好悪者招禍 譬如響応音
お子さんと保護者の方へ。実語教・第三十三句を、いっしょに確かめましょう。
いまのことば
悪を好む者は禍を招くの意味は?
悪いことを好む人は、わざわいを自分で呼び寄せる。
ちょうど、山びこが声に応えて返ってくるように。
ちょうど、山びこが声に応えて返ってくるように。
きょうの暮らしでいうと
山に向かって「ヤッホー」と叫べば「ヤッホー」と返ってきます。「バカ」と叫べば「バカ」と返ってくる。返ってくるものは、自分が出したものです。
行いも同じだ、とこの句は言います。意地悪をすれば、意地悪な空気が自分のまわりに集まる。乱暴な言葉を使えば、乱暴な言葉が返ってくる。だれかに罰せられるのではなく、自分の出した声が、自分に返ってくるだけなのです。
この句は次の句とふたつでひと組。悪い山びこの話のあとに、良い山びこの話が続きます。
考えてみよう
- 問一「自分が出したものが返ってきた」と感じた経験はありますか。
- 問二SNSやチャットでも「山びこ」は起きるでしょうか。
- 問三返ってきてほしい言葉を先に出すとしたら、どんな言葉にしますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——「禍(わざわい)」の字は、示(神さまに関わること)と咼を合わせた字。昔の人は、わざわいは外から降ってくるものと考えがちでしたが、この句は「自分が招くもの」と言い切っています。千年前として、ずいぶん近代的な考え方です。
原文について
この記事が扱っている『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。 表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。
この記事が扱っている『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
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