実語教・第三十二句
ぜんを みては すみやかに おこない善を見ては速やかに行い
あくを みては たちまち さけよ悪を見ては忽ち避けよ
原文 見善者速行 見悪者忽避
お子さんと保護者の方へ。実語教・第三十二句を、いっしょに確かめましょう。
いまのことば
善を見ては速やかに行いの意味は?
良いことを見たら、すぐに自分もやりなさい。
悪いことを見たら、すぐにそこから離れなさい。
悪いことを見たら、すぐにそこから離れなさい。
きょうの暮らしでいうと
この句の主役は、善悪そのものではなく「速やかに」「忽ち」——スピードです。
良いことは、迷っているうちに機会が過ぎます。ごみを拾おうか、席をゆずろうか、と考えているうちに、駅に着いてしまう。悪いことは、迷っているうちに巻き込まれます。「ちょっとだけなら」と見ているうちに、逃げにくくなる。
だから、どちらも考えこむ前に体を動かせ、というのです。良いことは反射で行い、悪いことからは反射で離れる。迷う時間こそが、いちばんの敵だと、この句は見抜いています。
考えてみよう
- 問一「やろうか迷っているうちに終わった良いこと」の経験はありますか。
- 問二悪いことから「すぐ離れる」のがむずかしいのは、どんなときでしょう。
- 問三迷わず動けるようになるには、何を決めておけばよいと思いますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——『論語』には「善を見ては及ばざるが如くし」という言葉があります。良いことを見たら、追いつけないものを追いかけるように急げ、という意味。洋の東西を問わず、善は「急ぐもの」とされてきました。
原文について
この記事が扱っている『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。 表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。
この記事が扱っている『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
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