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実語教・第三十一句

たにんの うれいを みては他人の愁いを見ては
すなわち みずから ともに うれうべし即ち自ら共に患うべし
たにんの よろこびを きいては他人の喜びを聞いては
すなわち みずから ともに よろこぶべし即ち自ら共に悦ぶべし

原文 見他人之愁 即自共可患 聞他人之喜 即自共可悦

お子さんと保護者の方へ。実語教・第三十一句を、いっしょに確かめましょう。

いまのことば

他人の愁いを見てはの意味は?

悲しんでいる人を見たら、いっしょに悲しみなさい。
喜んでいる人の話を聞いたら、いっしょに喜びなさい。

きょうの暮らしでいうと

簡単そうで、じつは後半がむずかしい句です。悲しんでいる友だちに寄りそうことは、多くの人ができます。でも、友だちの大成功を、心の底からいっしょに喜べるか。

友だちがテストで自分より良い点を取ったとき、レギュラーに選ばれたとき——おめでとうと言いながら、胸の奥がちくっとする。あの感じを、千年前の人も知っていたから、わざわざ「喜び」のほうも書いたのだと思います。

いっしょに喜べる友だちがひとりいると、うれしいことが二倍になります。あなたがその「いっしょに喜べる人」になれば、あなたのまわりから、うれしいことが増えていきます。

考えてみよう

  • 問一友だちの成功を素直に喜べなかった経験はありますか。あれは、どんな気持ちだったのでしょう。
  • 問二あなたの成功を、心から喜んでくれた人はだれですか。
  • 問三「共に悲しむ」と「共に喜ぶ」。むずかしいのはどちらだと思いますか。それはなぜ?

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——心理学では、人の喜びをいっしょに喜ぶと、自分の幸福感も上がることが知られています。千年前の教科書の教えを、現代の研究があとから追いかけている形です。
原文について
この記事が扱っている『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。 表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。

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