三十一
実 語 教 ・ 第 三十一 句
たにんの うれいを みては他人の愁いを見ては
すなわち みずから ともに うれうべし即ち自ら共に患うべし
たにんの よろこびを きいては他人の喜びを聞いては
すなわち みずから ともに よろこぶべし即ち自ら共に悦ぶべし
原文 見他人之愁 即自共可患 聞他人之喜 即自共可悦
いまのことば
悲しんでいる人を見たら、いっしょに悲しみなさい。
喜んでいる人の話を聞いたら、いっしょに喜びなさい。
きょうの暮らしでいうと
簡単そうで、じつは後半がむずかしい句です。悲しんでいる友だちに寄りそうことは、多くの人ができます。でも、友だちの大成功を、心の底からいっしょに喜べるか。
友だちがテストで自分より良い点を取ったとき、レギュラーに選ばれたとき——おめでとうと言いながら、胸の奥がちくっとする。あの感じを、千年前の人も知っていたから、わざわざ「喜び」のほうも書いたのだと思います。
いっしょに喜べる友だちがひとりいると、うれしいことが二倍になります。あなたがその「いっしょに喜べる人」になれば、あなたのまわりから、うれしいことが増えていきます。
考えてみよう
- 問一友だちの成功を素直に喜べなかった経験はありますか。あれは、どんな気持ちだったのでしょう。
- 問二あなたの成功を、心から喜んでくれた人はだれですか。
- 問三「共に悲しむ」と「共に喜ぶ」。むずかしいのはどちらだと思いますか。それはなぜ?
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——心理学では、人の喜びをいっしょに喜ぶと、自分の幸福感も上がることが知られています。千年前の教科書の教えを、現代の研究があとから追いかけている形です。