二十九
実 語 教 ・ 第 二十九 句
おのれ ひとの おやを うやまえば己人の親を敬えば
ひと また おのが おやを うやまう人亦己が親を敬う
原文 己敬人親者 人亦敬己親
いまのことば
自分が友だちの親を大切にすれば、
友だちもまた、自分の親を大切にしてくれる。
きょうの暮らしでいうと
前の句の「敬いあいの仕組み」を、一歩先へ進めた句です。今度は、目の前の相手ではなく、相手の後ろにいる人——友だちの親を敬う話になります。
友だちの家におじゃましたとき、その子のお父さんお母さんにきちんとあいさつする。すると、その友だちがあなたの家に来たとき、あなたの親にも同じようにしてくれる。あなたの振る舞いが、めぐりめぐって自分の親が大切にされる世界を作るのです。
自分のあいさつひとつが、自分の親への贈り物になる——そう考えると、よその家の玄関でのふるまいが、少し変わってきませんか。
考えてみよう
- 問一友だちの家で、その子の親にどんなあいさつをしていますか。
- 問二自分の親が、あなたの友だちから大切にされたら、どんな気持ちになるでしょう。
- 問三「めぐりめぐって返ってくる」ものは、敬意のほかに何があるでしょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——江戸の長屋は壁一枚でつながった暮らしで、よその子も自分の子のように叱り、ほめる文化がありました。町全体が、この句の「めぐりあい」で回っていたのです。