二十八
実語教・第二十八句
われ たにんを うやまえば我他人を敬えば
たにん また われを うやまう他人亦我を敬う
原文 我敬他人者 他人亦敬我
いまのことば
我他人を敬えばの意味は?
自分が人を大切にすれば、
人もまた、自分を大切にしてくれる。
きょうの暮らしでいうと
実語教の後半で、いちばん覚えやすく、いちばん実験しやすい句です。なにしろ今日、確かめられます。
あいさつを自分からしてみる。ありがとうを先に言ってみる。相手の話を最後まで聞いてみる。すると相手の態度が変わることに、たぶん気づくはずです。鏡に向かって笑うと、鏡の中の自分も笑う——人と人の間にも、同じ仕組みがあります。
順番が大事です。「敬われたら敬う」ではなく、「我」が先。自分から始めた人のところにだけ、返ってきます。
考えてみよう
- 問一「自分から先に」やってみて、相手が変わった経験はありますか。
- 問二逆に、そっけなくされたからそっけなくした——という悪循環に入ったことは?
- 問三明日、だれに、何を「自分から先に」してみますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——世界の多くの文化に、これとよく似た教えがあります。「自分がしてほしいことを、人にもしなさい」という形で、時代も場所も違うところで、人は同じ知恵にたどり着いてきました。
原文について
この記事が扱っている
『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、
国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。