実語教・第十八句
ひんせんの かどを いずと いえども貧賎の門を出ずと雖も
ち ある ひとの ためには智有る人の為には
あたかも でいちゅうの はちすの ごとし宛も泥中の蓮の如し
原文 雖出貧賎門 為有智人者 宛如泥中蓮
お子さんと保護者の方へ。実語教・第十八句を、いっしょに確かめましょう。
いまのことば
貧賎の門を出ずと雖もの意味は?
貧しい家に生まれても、
知恵を身につけた人は、
泥の中から咲く蓮の花のように輝く。
知恵を身につけた人は、
泥の中から咲く蓮の花のように輝く。
きょうの暮らしでいうと
蓮(はす)は、きれいな水ではなく、泥の中から茎をのばして、あの見事な花を咲かせます。泥が濃いほど、花は美しく見えます。
前の句とこの句を並べると、実語教の言いたいことがくっきりします。生まれた家がどうかではない。自分の中に何を育てたかで、人生は決まる。千年前の身分社会のまっただ中で、教科書がこれを子どもに教えていたことは、驚くべきことです。
いまの言葉にすれば、こうでしょうか——スタート地点は選べない。でも、そこから咲けるかどうかは、自分で決められる。
考えてみよう
- 問一泥の中から咲いた蓮のような人を、知っていますか(歴史上の人でも、身近な人でも)。
- 問二「スタート地点」と「咲けるかどうか」を分けて考えると、見え方はどう変わりますか。
- 問三いまのあなたの「泥」は何で、そこからどんな花を咲かせたいですか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——蓮は仏教で最も大切にされる花です。泥の中から清らかな花を咲かせる姿が、困難の中で咲く人の姿に重ねられてきました。夏の朝、蓮池に行くと、開花の瞬間に立ち会えることがあります。
原文について
この記事が扱っている『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。 表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。
この記事が扱っている『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
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