十六
実 語 教 ・ 第 十六 句
くんしは ちしゃを あいし君子は智者を愛し
しょうじんは ふくじんを あいす小人は福人を愛す
原文 君子愛智者 小人愛福人
いまのことば
立派な人は、知恵のある人を大切にする。
そうでない人は、お金持ちにばかり近づく。
きょうの暮らしでいうと
「君子(くんし)」は人格の立派な人、「小人(しょうじん)」はその反対の人。中国の古典によく出てくる対比です。
この句が見ているのは、だれと仲良くなろうとするかに、その人の中身が表れるということです。得をさせてくれそうな人にばかり近づくのか。学べる相手、尊敬できる相手を選ぶのか。
友だち選びの話としても読めますし、もっと手前の話——自分はどちらの側の人間になりたいか、という問いとしても読めます。
考えてみよう
- 問一「この人といると学べる」と感じる相手は、どんな人ですか。
- 問二人に「近づく理由」には、どんな種類があるでしょう。
- 問三あなた自身は、人からどんな理由で選ばれる人でありたいですか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——「君子」「小人」は『論語』の中心的な言葉です。実語教は、仏教の言葉と儒教の言葉の両方を使って書かれています。千年前の日本の教室では、ふたつの伝統がひとつの教科書に同居していました。