十五
実語教・第十五句
ならい よむと いえども ふくせざれば習い読むと雖も復せざれば
ただ となりの たからを かぞうるが ごとし只隣の財を計うるが如し
原文 雖習読不復 只如計隣財
いまのことば
習い読むと雖も復せざればの意味は?
習って読んでも、くりかえさなければ、
隣の家の財産を数えているのと同じこと。
きょうの暮らしでいうと
「隣の財を数える」——なんとも絶妙なたとえです。隣の家にお金がいくらあっても、自分のものにはなりません。一度読んだだけの知識も同じで、まだ「自分のもの」ではないのです。
「復(ふく)す」は、くりかえすこと。今の言葉でいう復習の「復」です。読んだ、聞いた、わかった気がした——そこで止めると、知識は隣の家に置いたまま。くりかえして、はじめて自分の家に運び込めます。
テストの前に「わかっていたのに解けなかった」経験はありませんか。それは、隣の財を数えていただけなのかもしれません。
考えてみよう
- 問一「わかったつもり」と「本当にわかった」の違いを、どうやって確かめられるでしょう。
- 問二くりかえすと決めたら、いつやるのがよさそうですか。
- 問三だれかに説明してみると理解が深まるのは、なぜだと思いますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——「復習」という言葉の「復」は、この句の「復す」と同じ字です。千年前の教科書に、すでに復習の大切さが書かれていました。
原文について
この記事が扱っている
『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、
国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
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