十二
実 語 教 ・ 第 十二 句
いとけなき とき つとめ まなばざれば幼き時勤め学ばざれば
おいて のち うらみ くゆと いえども老いて後恨み悔ゆと雖も
なお とる えき あること なし尚取る益有ること無し
ゆえに ふみを よみて うむこと なかれ故に書を読みて倦むこと勿れ
原文 幼時不勤学 老後雖恨悔 尚無有取益 故読書勿倦
いまのことば
子どものうちに学ばなければ、
年をとってから悔やんでも、取り返しがつかない。
だから、あきずに本を読み続けなさい。
きょうの暮らしでいうと
実語教の中で、いちばん多くの人の記憶に残ってきた句のひとつです。四行を使って、ていねいに言っています。
「取り返しがつかない」は、きびしい言葉です。でも、前の句とつなげて読むと意味がはっきりします。覚える力がいちばん強いのは、いまのあなたの年ごろ。同じ一時間でも、いま学ぶ一時間と、大人になってから学ぶ一時間では、身につく量が違うのです。
「倦(う)む」は、あきる・いやになるという意味。あきずに続けることまで含めて、ひとつの教えになっています。あきてもいい、でもやめるな、ということです。
考えてみよう
- 問一大人が「子どものころにやっておいてよかった」と言うものには、何があるでしょう。聞いてみましょう。
- 問二「あきる」と「やめる」の違いは何だと思いますか。
- 問三あきずに続けるための、自分なりの工夫はありますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——江戸の寺子屋では、この句を手習いのお手本にすることが多かったといいます。「勉強しなさい」と親が言う代わりに、千年前の教科書に言わせていたのかもしれません。