十一
実語教・第十一句
しだいは ひびに おとろえ四大は日々に衰え
しんじんは やや に くらし心神は夜々に暗し
原文 四大日々衰 心神夜々暗
いまのことば
四大は日々に衰うの意味は?
体は、一日ごとに少しずつ衰えていく。
心のはたらきも、夜ごとに鈍っていく。
きょうの暮らしでいうと
「四大(しだい)」は、地・水・火・風。昔の人は、人の体はこの四つの要素でできていると考えました。つまりこの句は「体のこと」を言っています。
少しこわい句に聞こえますが、これは脅しではなく、時間は待ってくれない、という事実を伝えています。体力も記憶力も、放っておいて勝手に増えることはない。だからこそ、いちばん元気で、いちばん覚えられる「いま」が貴重なのだ——と、次の句への橋をかけているのです。
大人がよく「若いうちに勉強しておけば」と言うのは、この句を身をもって知ったからかもしれません。
考えてみよう
- 問一おじいちゃんおばあちゃんに「若いうちにやっておけばよかったこと」を聞いてみましょう。何と答えるでしょうか。
- 問二「いまがいちばん覚えられる」としたら、何を覚えたいですか。
- 問三体を衰えにくくするために、毎日できることは何でしょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——「四大」は古代インドから伝わった考え方で、仏教とともに日本に入りました。現代の科学とは違う説明ですが、「体は自然の一部であり、変化し続ける」という見方は、いまの医学とも響き合います。
原文について
この記事が扱っている
『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、
国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
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