十
実 語 教 ・ 第 十 句
ざいもつは ながく そんぜず財物は永く存せず
さいちを ざいもつと なす才智を財物とす
原文 財物永不存 才智為財物
いまのことば
お金やものは、いつまでも残らない。
才能と知恵こそを、自分の財産としなさい。
きょうの暮らしでいうと
第三句から続いてきた「お金と知恵、どちらが本当の財産か」という問いに、この句で結論が出ます。才智を財物とす——知恵を財産とせよ。
ここまで実語教は、同じことを角度を変えて四回も言いました。富は一生かぎり。智は万代の財。倉の財は朽ちる。千両より一日の学。よほど大事なことなのです。千年前の大人たちも、子どもがつい目の前のお金やものに引かれてしまうことを、よく知っていたのでしょう。
ここで「お金の章」が終わり、次の句からは「時間」の話が始まります。
考えてみよう
- 問一実語教はなぜ、同じことを四回もくりかえしたのだと思いますか。
- 問二あなたの「才智の財産」を、通帳のように書き出すとしたら、何が並びますか。
- 問三その財産を増やすために、今週できそうなことはありますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——実語教は、大事なことを形を変えてくりかえす作りになっています。これは覚えるための工夫でもありました。声に出して唱えるうちに、くりかえされた考え方が自然と体に残るのです。