八
実語教・第八句
せんりょうの こがねを つむと いえども千両の金を積むと雖も
いちにちの がくには しかず一日の学には如かず
原文 雖積千両金 不如一日学
いまのことば
千両の金を積むと雖もの意味は?
千両の大金を積み上げても、
一日の学びには、かなわない。
きょうの暮らしでいうと
千両は、江戸の言葉でいう「大金」の代名詞です。今なら、宝くじの一等かもしれません。
その大金より「一日の学び」のほうが上だと、この句は言い切ります。ずいぶん思い切った言葉ですが、ここまでの句を読んできたあなたには、理由がわかるはずです。お金は使えば減り、しまえば朽ちる。学びは減らず、朽ちず、一生ついてくる。だから、比べれば学びが勝つ、というわけです。
今日という一日は、千両より値打ちがあるかもしれない——そう思うと、今日の過ごし方が少し変わりませんか。
考えてみよう
- 問一もし一日だけ「なんでも学べる日」があったら、何を学びますか。
- 問二お金で買えるものと、学ばないと手に入らないもの。それぞれ例を挙げてみましょう。
- 問三「今日の一日」を千両にする過ごし方とは、どんな一日でしょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——千両箱ひとつの重さは、およそ20キログラムあったといわれます。運ぶのも守るのもひと苦労。いっぽう学びは、どれだけ積んでも重さゼロです。
原文について
この記事が扱っている
『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、
国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。