七
実 語 教 ・ 第 七 句
くらの うちの たからは くつること あり倉の内の財は朽つること有り
みの うちの さいは くつること なし身の内の才は朽つること無し
原文 倉内財有朽 身内才無朽
いまのことば
倉にしまった財産は、いつか朽ちてだめになる。
自分の中に身につけた才は、朽ちることがない。
きょうの暮らしでいうと
大事なものをしまっておく場所が、昔は倉でした。今なら、貯金箱、引き出し、ゲーム機の中のデータかもしれません。
でも、しまってあるものは、こわれたり、古びたり、流行おくれになったりします。自分の体で覚えたことだけは、しまう場所がいりません。自転車の乗り方、泳ぎ方、九九。一度身についたものは、何年たっても出てきます。
「財産はどこに置くのがいちばん安全か」——実語教の答えは、金庫でも倉でもなく、自分の中、です。
考えてみよう
- 問一自分の体で覚えていて、何年たっても忘れないものはありますか。
- 問二「しまってあるだけのもの」と「身についたもの」の違いは、どこにあるでしょう。
- 問三今日から身につけ始めるとしたら、何を選びますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——江戸の商家では、火事のときに帳簿を井戸に投げ込んで守ったといいます。それほど大事にした帳簿でも、燃えれば終わり。番頭さんの頭の中にある商いの知恵だけは、火事でも失われませんでした。