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六

実語教・第六句

ひと まなばざれば ち なし人学ばざれば智無し
ち なきを ぐにんと なす智無きを愚人とす

原文 人不学無智 無智為愚人

いまのことば

人学ばざれば智無しの意味は?

人は、学ばなければ知恵がつかない。
知恵がなければ、せっかくの人生を愚かに過ごすことになる。

きょうの暮らしでいうと

前の句の「玉」が、この句で「人」に戻ります。玉は磨かなければ光らない。人は学ばなければ知恵がつかない。同じ形の、仕上げの一句です。

きびしい言葉に聞こえます。でも裏返すと、これほど希望のある言葉もありません。生まれつきではなく、学んだかどうか。だとすれば、知恵はだれにでも開かれています。今日から学べば、今日から変わります。

福澤諭吉ふくざわゆきちは『学問のすゝめ』の冒頭近くで、まさにこの句を引きました。「天は人の上に人を造らず」——それなのに世の中に賢い人とそうでない人がいるのはなぜか。その答えとして「実語教じつごきょうに、人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なりとあり」と書いたのです。明治の日本を動かした本の土台に、寺子屋のこの一句がありました。

考えてみよう

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——『学問のすゝめ』(1872年)は、当時の日本人の10人に1人が読んだともいわれる大ベストセラーです。その福澤諭吉ふくざわゆきちが土台に置いたのが、寺子屋で千年読まれたこの句でした。こころの間では、いずれ『学問のすゝめ』全17編も、現代のことばで読み直していきます。
原文について
この記事が扱っている『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。 表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。
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