四
実語教・第四句
ちは これ ばんだいの たから智は是れ万代の財
いのち おわれば すなわち したがって ゆく命終われば即ち随って行く
原文 智是万代財 命終即随行
いまのことば
智は是れ万代の財の意味は?
知恵は、いく世代にも受け継がれる財産。
命が終わっても、消えずに残っていく。
きょうの暮らしでいうと
前の句とこの句は、ふたつでひと組です。富は一生かぎり。では、知恵は?——万代(ばんだい)、つまり何世代にもわたる財産だ、と続けます。
あなたが今日おぼえた九九は、お父さんやお母さんも、そのまた前の人たちも使ってきたものです。誰かが見つけた知恵は、書き残され、教えられて、千年でも生きつづけます。いま読んでいるこの実語教そのものが、その証拠です。
そして、自分の中に育てた知恵は、誰にも取り上げられません。人に分けても減らず、むしろ増えていきます。
考えてみよう
- 問一家の人から教わった知恵で、いまも使っているものはありますか。
- 問二あなたが誰かに残したい知恵をひとつ選ぶなら、何にしますか。
- 問三お金は人にあげると減ります。知恵はどうでしょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——「万代」は「よろずよ」とも読み、限りなく続く世代のことです。実語教は平安の終わりごろに生まれ、鎌倉・室町・江戸と読み継がれて、いまあなたの目の前にあります。まさに万代の財の実物です。
原文について
この記事が扱っている
『実語教』は、平安末から鎌倉期に成立したとされる教訓書。江戸の寺子屋でもっとも広く使われた教科書のひとつです。
原本(江戸期などの版本)は、
国立公文書館 デジタルアーカイブ『実語教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。