二
実 語 教 ・ 第 二 句
ひと こえたるが ゆえに たっとからず人肥えたるが故に貴からず
ち あるを もって とうとしと なす智有るを以て貴しと為す
原文 人肥故不貴 以有智為貴
いまのことば
人は、体が大きいから立派なのではない。
その人の中に知恵があるから、立派なのだ。
きょうの暮らしでいうと
第一句の「山」が、こんどは「人」になりました。体の大きさ、力の強さ、着ているもの——人の「見た目」も、外からすぐ見えます。
千年前も今も、人はつい見た目で人を判断してしまいます。だからこの教科書は、山の次に人を並べて、同じ形でもう一度言います。その人の中に、何が育っているか。
見た目は年齢や流行で変わっていきます。その人の中の知恵は、その人だけのものです。実語教はこのあと、知恵がどういう財産なのかを、たたみかけるように説いていきます。
考えてみよう
- 問一見た目で判断して、あとから中身に驚いたことはありますか。
- 問二あなたが「この人はすごい」と思う人は、どんな知恵を持っていますか。
- 問三体を鍛えることと、知恵を育てること。似ているところと違うところは、どこでしょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——実語教は五文字ずつの対句でできています。「山高きが故に」と「人肥えたるが故に」のように同じ形をくりかえすので、声に出して読むと調子よく覚えられます。江戸の寺子屋では、意味を教わる前にまず声に出して唱え、体に入れました。素読(そどく)という学び方です。