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第十九章

童 子 教 ・ 第十九章 孝行の人々の物語

もうそう ちくちゅうに なきしかば しんせつの うちに たかんなを ぬく孟宗竹中に哭きしかば、深雪の中に笋を抜く

原文 孟宗哭竹中 深雪中抜笋

この章の本文(第119対句〜第132対句)

いまのことば

病の母がたけのこを望んだ真冬、孟宗が竹やぶで泣くと、雪の中からたけのこが生えた。
孝行の心は天さえ動かす——そう信じられてきた物語たち。

きょうの暮らしでいうと

この章は物語集です。真冬にたけのこを掘り当てた孟宗。氷を叩いて魚を得た王祥。親の墓の土を烏たちが運んで手伝った顔烏。中国の「二十四孝」に連なる孝行者の伝説が、次々に語られます。

雪からたけのこは生えません。氷から魚は跳ねません。これは事実の記録ではなく、「それほどの心だった」を伝える物語の言葉です。昔の人も、それを分かって語り継ぎました。

物語の芯だけ取り出せば、こうなります——親を思う心は、不可能に見えることへ人を向かわせる。そしてその姿は、必ず誰かが見ている。孟宗の名は「モウソウチク(孟宗竹)」として、日本の竹やぶに今も生えています。

考えてみよう

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——たけのこでおなじみの孟宗竹は、この孝行話の孟宗から名づけられました。教科書の中の人物が里山の風景の名前になっている——童子教が日本の暮らしに残した、いちばん身近な足あとかもしれません。
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