第十七章
童 子 教 ・ 第十七章 智者は常に歓楽す
ぐしゃは つねに うれいを いだき ちしゃは つねに かんらくす愚者は常に憂を懐く、智者は常に歓楽す
原文 愚者常懐憂 智者常歓楽
この章の本文(第99対句〜第104対句)
- 好学登師傅 智者雖下劣学を好んで師傅に登る 智者は下劣なりと雖(いへど)も
- 登高台之閣 愚者雖高位高台の閣に登る 愚者は高位なりと雖(いへど)も
- 堕奈利之底 智者作罪者奈利の底に堕(お)つ 智者の作る罪は
- 大不堕地獄 愚者作罪者大いなれども地獄に堕(お)ちず 愚者の作る罪は
- 小必堕地獄 愚者常懐憂小さけれども必ず地獄に堕(お)つ 愚者は常には憂(うれい)を懐(いだ)く
- 譬如獄中囚 智者常歓楽譬(たと)へば獄中の囚(とらはれ)の如し 智者は常に歓楽す
いまのことば
学ばない人は、いつも不安を抱えて生きる。
学んだ人は、同じ世の中を、楽しんで生きる。
きょうの暮らしでいうと
同じ世の中に生きているのに、いつも何かに怯えて暮らす人と、晴れやかに暮らす人がいる。童子教はその分かれ目を「智」に見ます。
知らないものは、怖い。仕組みの分からない出来事は不安をあおり、知らない場所は敬遠したくなる。逆に、分かれば怖くなくなる。学びは、世界から怖いものを減らしていく作業でもあるのです。
「智者の作る罪は大いなれども地獄に堕ちず、愚者の作る罪は小さけれども必ず堕つ」——知らずに犯す過ちのほうが救いがたい、という厳しい句もあります。「知らなかった」では済まないことがある。学ぶ責任の話です。
考えてみよう
- 問一「知ったら怖くなくなった」ものはありますか。
- 問二不安の多くは「知らないこと」から来る——賛成ですか、反対ですか。
- 問三「知らなかったから仕方ない」で済むことと、済まないこと。線はどこにあるでしょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——「光音天(こうおんてん)」は仏教の世界観に出てくる、音が光になるという美しい天界。智者の楽しさのたとえに使われています。童子教の後半は、こうした仏教の言葉の世界観も学べる作りになっています。