第十三章
童 子 教 ・ 第十三章 朝のつとめ、夕のつとめ
あしたに はやく おきて てを あらい朝に早く起きて手を洗ひ
原文 朝早起洗手
この章の本文(第71対句〜第74対句)
- 観音為師孝 宝冠頂弥陀観音は師孝の為に 宝冠に弥陀を頂(いただ)き
- 勢至為親孝 頭戴父母骨勢至(せいし)は親孝(しんかう)の為に 頭(かしら)に父母の骨(こつ)を戴(いただ)き
- 宝瓶納白骨 朝早起洗手宝瓶に白骨を納め 朝(あした)に早く起きて手を洗ひ
- 摂意誦経巻 夕遅寝洒足意(こころ)に摂して経巻を誦(じゆ)せよ 夕(ゆふべ)に遅く寝(いね)て足を洒(あら)ひ
いまのことば
朝は早く起きて手を洗い、心を整えて書を読む。
夜は休む前に足を洗い、心静かに一日の意味を考える。
きょうの暮らしでいうと
観音さまは師への孝のしるしを宝冠にいただき、勢至さまは親への孝のしるしを頭に戴く——仏さまでさえ、師と親への感謝を身につけている、という導入から、この章は一日の過ごし方に入ります。
朝、起きる。手を洗う。心を整えてから、その日の学びに向かう。夜、足を洗い、静かに一日をふり返ってから休む。一日の始まりと終わりに「整える時間」を置く——現代の朝の習慣づくりや、寝る前のふり返りと、やっていることは同じです。
手を洗い足を洗うのは、清潔のためだけではありません。体を整えることで、心の区切りをつける。スイッチの入れ方・切り方を、体の側から作る知恵です。
考えてみよう
- 問一朝、学びや仕事に向かう前の「整える動作」を持っていますか。
- 問二夜、一日をふり返る時間を5分作るなら、何を考えたいですか。
- 問三体を整えると心が整うのは、なぜだと思いますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——観音菩薩の冠には阿弥陀仏の姿が、勢至菩薩の頭上には宝瓶があるとされます。仏像を見る機会があったら、冠に注目してみてください。千年前の子どもたちは、仏像からも「恩」を学んでいました。