第七章
童 子 教 ・ 第七章 前車の覆るは後車の誡め
ぜんしゃの くつがえるを みては こうしゃの いましめと す前車の覆るを見ては、後車の誡とす
原文 前車之見覆 後車之為誡
この章の本文(第34対句〜第39対句)
- 心不同如面 譬如水随器心不同なるは面(おもて)の如し 譬(たと)へば水の器(うつわ)に随(したが)ふが如し
- 不挽他人弓 不騎他人馬他人の弓を挽(ひ)かざれ 他人の馬に騎(の)らざれ
- 前車之見覆 後車之為誡前車の覆(くつがへ)るを見ては 後車の誡(いましめ)とす
- 前事之不忘 後事之為師前事の忘れざるを 後事(ごじ)の師とす
- 善立而名流 寵極而禍多善立つて名を流し 寵(ちやう)極(きはま)つて禍(わざはひ)多し
- 人者死留名 虎者死留皮人は死して名を留(とど)め 虎は死して皮を留む
いまのことば
前を走る車がひっくり返ったら、後ろの車はそこで学ぶ。
人の失敗は、自分への警告として活かす。
きょうの暮らしでいうと
人の心は顔と同じで、ひとつとして同じものはない。水が器の形に従うように、環境によっても変わる——この章は、人というものの見方から始まります。
そのうえで、学び方をひとつ。失敗は、自分でやらなくても学べる。前の車の転び方を見て、後ろの車はハンドルを切る。歴史を学ぶ意味、先輩の話を聞く意味は、まさにここにあります。
章の結びは「人は死して名を留め、虎は死して皮を留む」。虎が美しい皮を残すように、人は名を——つまり、どう生きたかを残す。何を残したいかを問う、大きな句です。
考えてみよう
- 問一人の失敗から学んで、自分は避けられたことがありますか。
- 問二「同じ失敗を自分でもやってみないと分からない」派と「人から学べる」派。あなたはどちら?
- 問三あなたが残したい「名」——どう生きた人として覚えられたいですか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」は、いまもスポーツ選手の引退などで使われる言葉です。出典はこの童子教と、その源流の中国の故事。千年使われ続けている現役の名言です。