第三章
童子教・第三章 人なかの口のきき方
ことば おおきは しな すくなし語多きは品少なし
原文 語多者品少 老狗如吠友
この章の本文(第12対句〜第15対句)
- 交衆不雑言 事畢者速避衆に交はりて雑言(ざうごん)せざれ 事畢(おは)らば速(すみやか)に避(さ)れ
- 触事不違朋 言語不得離事に触るれば朋(とも)に違(たが)はざれ 言語(げんぎよ)離るることを得ず
- 語多者品少 老狗如吠友語(ことば)多きは品少なし 老ひたる狗(いぬ)の友を吠(ほ)ゆるが如し
- 懈怠者食急 疲猿如貪菓懈怠(けだい)の者は食を急ぐ 疲れたる猿の菓(このみ)を貪(むさぼ)るが如し
いまのことば
童子教 第三章の教えは?
人の集まりで、余計なことをべらべら話さない。
言葉数の多さは、品のなさにつながる。
きょうの暮らしでいうと
「語多きは品少なし」——童子教でいちばん有名な句のひとつです。しゃべりすぎる人を、年老いた犬が友に吠えかかる姿にたとえる。手厳しいけれど、思い当たる風景です。
これは「無口になれ」ではありません。言葉の値打ちは、量ではなく選び方で決まるということです。よく考えてから話す人の一言は重く、思いつきを垂れ流す人の百言は軽い。
「事畢らば速に避れ」——用事が済んだらさっと引き上げよ、も現代的です。だらだら残らない。チャットの既読スルーやLINEの切り上げどきに悩む私たちに、千年前の答えがあります。
考えてみよう
- 問一「もっと話したい」をあえて我慢して、良かったことはありますか。
- 問二言葉数が少ないのに存在感のある人は、何が違うのでしょう。
- 問三SNSの投稿にも「語多きは品少なし」は当てはまると思いますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——犬は「一匹」、人は「一人」。数え方が違うように、人には人の話し方がある——江戸の解説書は、この句をそんなふうに教えていました。
原文について
この記事が扱っている
『童子教』は、実語教と対で使われた教訓書。江戸の寺子屋の定番でした。
原本(江戸期などの版本)は、
国立公文書館 デジタルアーカイブ『童子教』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。