第二章
童 子 教 ・ 第二章 つつしみの場所
じんりん れい あれば ちょうてい かならず ほう あり人倫礼有れば、朝廷必ず法在り
原文 人倫有礼者 朝廷必在法
この章の本文(第7対句〜第11対句)
- 過墓時則慎 過社時則下墓を過ぐる時は則ち慎め 社を過ぐる時は則ち下(を)り
- 向堂塔之前 不可行不浄堂塔の前に向かつて 不浄を行ふべからず
- 向聖教之上 不可致無礼聖教(しやうけう)の上に向かつて 無礼を致すべからず
- 人倫有礼者 朝廷必在法人倫礼有れば 朝廷必ず法在り
- 人而無礼者 衆中又有過人として礼無きは 衆中(しゆぢう)又過(とが)有り
いまのことば
お墓や神社の前では、心をあらためる。
人に礼があるように、世の中には法がある。
きょうの暮らしでいうと
墓の前では慎み、社(やしろ)の前では馬を下りる。聖なる場所、聖なる書物——大切なものの前では、ふだんの態度を一段あらためる。それがこの章の教えです。
そして章の締めに、視野がぐっと広がります。人に礼があるのは、国に法があるのと同じこと。礼儀は個人の趣味ではなく、世の中を成り立たせている仕組みの、いちばん小さな単位だというのです。
図書館で声を落とす。式典で姿勢を正す。場所によってふるまいを変えられる力は、「空気が読める」よりずっと深い、千年前からの教養です。
考えてみよう
- 問一あなたが自然と「態度をあらためる場所」はどこですか。
- 問二礼儀と法律。似ているところと違うところは何でしょう。
- 問三大切に扱われている場所は、なぜ大切にされ続けるのだと思いますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——「社を過ぐる時は則ち下り」は、乗り物から降りて敬意を示す作法です。いまも皇居前や神社の前で一礼して通る人がいます。形は変わっても、作法は生きています。