五
東 海 道 ・ 品 川 宿
日本橋から歩いておよそ二時間。海ぞいの品川宿は、旅人が江戸と別れる場所であり、見送りの人と最後の盃を交わす場所でした。
いまのことば
品川宿は東海道の第一宿。
江戸を発つ人と見送る人が、ここで別れの時を過ごした。
別れの宿
品川は江戸の玄関口。旅立つ人をここまで見送って、茶屋でひと休みして別れる——それが江戸の作法でした。「品川まで送る」は、精いっぱいの友情の表現だったのです。
宿は海に面していて、広重の浮世絵にも波打ちぎわの町並みが描かれています。いまの品川駅あたりからは想像しにくいですが、旧東海道の商店街を歩くと、道幅は江戸のまま。埋め立てで海岸線がどれだけ動いたかを、地図で見比べると驚きます。
第一宿は、旅のはじまりの緊張と、別れの寂しさが混ざる場所。五十三次の物語は、感情から始まります。
考えてみよう
- 問一「ここまで見送る」という場所が、あなたの暮らしにもありますか(駅の改札、家の角……)。
- 問二品川の昔の海岸線と今の地図を見比べてみましょう。どこまでが埋立地でしょう。
- 問三旅の「最初の一泊目」には、どんな意味があると思いますか。
答えはひとつではありません。地図を広げながら考えると、また違って見えてきます。
豆知識——旧東海道品川宿の通りは今も商店街として続いていて、歩いて散策できます。道の細さとゆるやかな曲がりが、江戸の道のままです。