十七編
学 問 の す ゝ め ・ 十七編 人望論
人にして人を毛嫌いするなかれ。—— 福澤諭吉『学問のすゝめ』十七編より
いまのことば
人に信頼されることは、努力で手に入る。
言葉を磨き、顔色を明るくし、人づきあいを広くせよ。
きょうの暮らしでいうと
最終編のテーマは「人望」——人から当てにされる力です。福澤は、人望は生まれつきの人徳ではなく、技術として身につけられると言います。方法まで具体的です。
ひとつ、言葉を磨くこと。伝え方の練習を惜しまない。ふたつ、表情を明るくすること。仏頂面は「人を遠ざける看板」だと言います。みっつ、つきあいの幅を広げること。気の合う仲間だけで固まらない。
そして全17編の最後の一文が、「人にして人を毛嫌いするなかれ」。学問のすすめの結びが、勉強の話ではなく人を嫌うなという話であること——ここに、この本の本当の姿があります。学問は、人とともに生きるためのものでした。
考えてみよう
- 問一「言葉・表情・つきあいの幅」。自分が磨きやすいのはどれですか。
- 問二第一印象と、つきあってみてからの印象が大きく違った人はいますか。
- 問三全17編の結びが「人を毛嫌いするな」だったことを、あなたはどう受け取りますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——福澤諭吉は1901年に亡くなりました。『学問のすゝめ』は書かれてから150年たったいまも新しい訳や解説が出続けています。こころの間で読んできた実語教から福澤まで——日本の学びの心は、一本の線でつながっています。