初編
学 問 の す ゝ め ・ 初編 学問には目的がある
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。—— 福澤諭吉『学問のすゝめ』初編より
いまのことば
人は生まれながらに上下の差はない。
それでも賢い人と愚かな人がいるのは、学んだか、学ばなかったかの違いである。
きょうの暮らしでいうと
日本でいちばん有名な書き出しです。でも、この一文だけで止まると、福澤の言いたいことの半分しか受け取れません。文はこう続きます——それなのに、世の中に賢い人と愚かな人、豊かな人と貧しい人がいるのはなぜか。
その答えとして福澤が引いたのが、実語教の「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」でした。生まれではない。学んだかどうかだ。寺子屋で千年読まれた一句が、明治の新しい時代の宣言の土台に置かれたのです。
そして福澤の言う学問は、むずかしい本を読むことではありません。手紙の書き方、そろばん、ものの見方——暮らしの役に立つ「実学」こそ、まず学ぶべきものだと説きました。
考えてみよう
- 問一「生まれではなく、学んだかどうか」——この考え方は、いまの世の中でも本当だと思いますか。
- 問二あなたがいま学んでいることは、暮らしのどこで役に立ちそうですか。
- 問三もし福澤諭吉が今日の日本に来たら、まず何を学べと言うと思いますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——『学問のすゝめ』の初編は明治5年(1872年)に出ました。最終的に全17編で合計300万部以上とも言われ、当時の日本の人口からすれば、およそ10人に1人が手にした計算になる大ベストセラーでした。