第十二題
塵 劫 記 ・ 第 十 二 題 旅 人 算
弟が分速60mで家を出ました。5分後、忘れ物に気づいた兄が分速80mで追いかけます。兄が弟に追いつくのは、出発から何分後で、家から何mの地点でしょう。
いまのことば
追いかける問題は「差」に注目する。
リードの大きさを、1分に縮まる差で割れば、追いつく時間が出る。
たねあかし
- 弟は先に5分歩いた。60m×5分=300mのリード。
- 兄は1分ごとに 80−60=20mずつ差を縮める。
- 300m÷20m=15。兄が出発して15分後に追いつく。
- たしかめ:兄 80×15=1200m。弟 60×20=1200m ✓(弟は合計20分歩いている)
答え 兄が出発してから15分後、家から1200mの地点
東海道の算数
「速さの違うふたりが、いつ出会うか・追いつくか」——旅人算は、東海道を旅人が行き交う時代の、まさに実用の算数でした。飛脚は何日で着くか、先発の荷を早馬で追えるか。宿場の距離と速さの計算は、暮らしの必需品だったのです。
コツはひとつ、「差」だけを見ること。ふたりが同じ向きなら速さの差で追いつき、向かい合って進むなら速さの和で出会う。複雑に見える問題が、引き算(または足し算)ひとつに畳まれます。
地理の間で歩いた東海道約490km。飛脚の最速便は、江戸〜京都を数日で走ったと伝わります。分速に直すと?——旅人算の腕の見せどころです。
考えてみよう
- 問一「出会い算」版を作って解いてみましょう:向かい合って歩くふたりは何分後に出会う?
- 問二自分の歩く速さ(分速)を実測してみましょう。100mを何分で歩きますか。
- 問三東海道490kmを1日40km歩くと何日かかるか、旅人算で計算してみましょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——飛脚は宿場ごとに走者が交代するリレー方式でした。ひとりで走り続けるのではなく、区間の分業で速さを作る——駅伝(駅の伝馬)という言葉の語源も、この宿場の仕組みです。