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江 戸 の 科 学 ・ 二

お茶をのせると歩き出し、客の前で止まる。茶碗を戻すと、くるりと回って帰っていく——江戸のからくり人形は、動力も制御も機械だけで実現しました。

いまのことば

茶運び人形は、ぜんまいと歯車だけで「進む・止まる・戻る」を実現した、
江戸のロボット。設計図は本になって残っている。

動きのたねあかし

動力は、クジラのひげで作ったぜんまい。金属のばねが貴重だった日本での、見事な代用品です。茶碗の重さでスイッチが入り、歯車が車輪を回し、決めた距離で止まる。茶碗を取ると止まり、戻すと向きを変えて帰る——センサーの代わりに重さを、プログラムの代わりに歯車の設計を使っています。

すごいのは、この仕組みが『機巧図彙(からくりずい)』という本(1796年)に設計図つきで公開されたこと。作り方をひみつにせず、本にして広める。技術をみんなの財産にする文化が、江戸にはありました。

現代のロボット技術者にも、この本の復元に挑む人がいます。200年前の設計図が、いまも「動く」のです。

考えてみよう

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——『機巧図彙』を書いた細川半蔵は土佐の技術者。この本は「江戸のロボット工学の教科書」と呼ばれ、復元版の茶運び人形は科学館などで実際に動く姿を見られます。
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