CCN 寺子屋
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十一

往 来 物 ・ 国 尽 く し

武蔵、相模、駿河、遠江、三河、尾張——寺子屋の子どもたちは、日本中の国の名前を、節をつけて唱えて覚えました。

いまのことば

「国尽」は、全国六十余州の国名を順に並べた暗唱教材。
声に出して覚えた地名は、旅の地図にも、証文の宛先にも役立った。

唱える地図帳

江戸時代の日本は六十余りの「国」に分かれていました。武蔵(東京・埼玉あたり)、相模(神奈川)、駿河(静岡中部)……。寺子屋では、この国名を道順に並べた「国尽(くにづくし)」を、手習いと素読で覚えました。

実語教と同じで、節をつけて声に出すと、羅列が歌になる。東海道を下る順に唱えれば、頭の中に日本地図が組み上がっていきます。商いの手紙の宛先にも、旅の計画にも、国名の知識は欠かせない実用でした。

旧国名は、いまも新幹線や特急の名前(ひかりは別として、あずさ・しなの・いなほ…路線名の武蔵野線・常磐線)、名産品(讃岐うどん・信州そば)に生きています。国尽は、現代日本語の中にまだ流れているのです。

考えてみよう

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——六十余州の区分は7世紀ごろの律令制に始まり、明治の廃藩置県まで千年以上使われました。県名より地名として古い——「武蔵」は「東京都」の何倍も長い歴史を持つ名前です。
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