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江 戸 の 科 学 ・ 十

鉄鉱石の少ない日本で、人々は川と山の砂から鉄を取り出しました。三日三晩、炎を守り続ける「たたら」の炉です。

いまのことば

たたら製鉄は、砂鉄と木炭を炉で焼き、鉄を取り出す日本の伝統技術。
最上級の玉鋼たまはがねは、日本刀の材料として今も作られている。

炎の化学

原料は、川底や山の土から集めた砂鉄。これを粘土の炉に木炭と交互に入れ、ふいご(たたら)で風を送り続けます。木炭が燃えて生まれる一酸化炭素が、砂鉄(酸化鉄)から酸素を奪い取る——理科でいう「還元」が、炉の中で三日三晩続きます。

炉の温度、風の強さ、砂鉄と炭の入れ加減。すべてを炎の色で見極めるのが「村下(むらげ)」と呼ばれる技師長でした。温度計のない時代の、目と経験の化学です。

できた鉄の最上部分が玉鋼(たまはがね)。日本刀の材料で、現代の製鉄所でも作れない独特の鋼です。島根県では今も冬にたたら操業が行われ、玉鋼たまはがねが刀匠たちに届けられています。

考えてみよう

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——たたら製鉄の炉は操業のたびに壊して作り直します。三日三晩の一発勝負。砂鉄の産地・中国山地では、砂鉄採りで削られた地形が、いまも棚田や地名に残っています。
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