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CEFRと英検の対照——文部科学省の表で見る級とスコアの関係

2026年9月8日 / 士心塾 オンライン校

「英検準1級はCEFRのB2に相当する」という言い方は、正確には「級に合格したこと」ではなく「4技能をすべて受けたときの英検CSEスコアが、文部科学省の対照表でB2の範囲に入っていること」で決まります。級の合格ラインそのものが、たまたまその帯のすぐ内側に置かれているため、結果として「合格すればその帯になる」という対応が成り立っています。この記事では、文部科学省が公表している対照表の一次資料と、英検を運営する日本英語検定協会の説明を、そのままの数字で確認していきます。

出典:文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(平成30年3月)文部科学省「大学入試英語成績提供システム参加予定の資格・検定試験とCEFRとの対照表」(令和元年8月)日本英語検定協会「英検CSEスコアとは」日本英語検定協会「英検について」

CEFRとは何か——ヨーロッパで作られた「熟達度」の物差し

CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)は、日本語では「外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠」と訳されます。20年以上の調査・研究を経て、2001年に欧州評議会(Council of Europe)が公表した枠組みで、開発にはブリティッシュ・カウンシルとケンブリッジ大学英語検定機構が関わっています。

特徴は、外国語の熟達度を試験の点数ではなく、A1・A2・B1・B2・C1・C2という6段階の「〜ができる」という記述(Can-do表現)で示していることです。C2が最も高いレベルで、A1が最も基礎的なレベルにあたります。英語だけでなく、フランス語やドイツ語など多くの言語の熟達度を測る共通の物差しとして、教育や仕事の場面で世界的に使われています。

日本英語検定協会(英検の運営団体)は、英検の公式サイトでCEFRの6段階を次のように説明しています。ここでは要点だけを日本語でまとめます。

  • A1・A2(基礎段階の言語使用者)……日常的でよく使う表現を理解し、自己紹介や身近な話題について簡単なやり取りができる段階
  • B1・B2(自立した言語使用者)……仕事や学校で出会う話題の要点を理解し、幅広い話題について明確な文章を作れる段階
  • C1・C2(熟練した言語使用者)……高度な内容を理解し、流暢かつ正確に、複雑な話題についても自己表現できる段階

英検、TOEFL iBT、IELTS、TOEIC、ケンブリッジ英語検定など、日本で使われている主な英語の資格・検定試験は、それぞれ独自のスコア尺度を持っています。CEFRは、これらの試験の結果を横並びで見るための「共通の目盛り」として使われています。

文部科学省の対照表——英検の各級はどの帯にあたるか

各試験のスコアとCEFRの関係は、各試験団体が独自に主張しているわけではありません。文部科学省が「英語の資格・検定試験とCEFRとの対応関係に関する作業部会」を設け、各試験団体からの検証結果の報告を集約したうえで、2018年(平成30年)3月に「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」として公表しました。英検(実用英語技能検定)については、この対照表のうち「4技能総合スコア」の欄が、英検CSEスコアの合計とCEFRの関係を示しています。

この対照表に示された、英検の4技能総合スコア(英検CSEスコア)とCEFRの範囲は次のとおりです。

CEFR英検CSEスコア(4技能総合)
C12600〜3299
B22300〜2599
B11950〜2299
A21700〜1949
A11400〜1699

1400点未満の場合は、この対照表ではCEFRの判定ができない(該当する帯がない)扱いになっています。また英検にはC2に対応する欄がなく、英検で判定できるCEFRの上限はC1までです。この点は、ケンブリッジ英語検定やIELTSなど、C2まで判定できる試験と異なります。

この対照表をもとに、英検の各級が「どの帯まで届く可能性があるか」を、日本英語検定協会「英検CSEスコアとは」のページでは次のように整理しています。

受験した級その級で表示され得るCEFRの上限
1級C1
準1級B2
2級B1
準2級・準2級プラスA2
3級A1

ここで注意したいのは、「準1級を受けた人は必ずB2になる」わけではないということです。上の表は「その級で受けた場合に表示され得る上限」を示しているだけで、スコアが低ければ、準1級を受けてもB1と判定されることがあります。逆に2級を受けても、スコアが高ければA2ではなくB1と判定されます。判定を決めているのは、あくまでスコアがどの範囲に入るかです。

英検CSEスコアとCEFRの関係——級をまたぐ共通の目盛り

英検CSEスコアは、英検が2016年度から採用している「ユニバーサルなスコア尺度」で、Common Scale for English(CSE)という国際的な尺度を英検の各級で表記したものです。日本英語検定協会の説明によれば、英検CSEスコアには3つの特長があるとされています。

  • どの級でも共通のスコア表示なので、今の英語力や伸長度がひと目で分かる
  • 英検CSEスコアで合否判定を行うため、合格までの距離が分かる
  • 国際標準規格のCEFRに対応しているので、自分の実力が世界基準で分かる

4級・5級はリーディング・リスニング・スピーキングテストの3技能、3級〜1級はライティングも含めた4技能のスコアとトータルスコアが、英検の成績表に表示されます。CEFRとの対照に使われるのは、この4技能(3級以上)をすべて受けたときの「4技能総合スコア」です。

英検CSEスコアの合否判定の仕組みについて、日本英語検定協会は次のように説明しています。「各技能の正答数をもとに技能別スコア(英検CSEスコア)を算出し、合格基準スコア(英検CSEスコア)に達した方は、合格と判定されます」。そして「各級の合格基準スコア(英検CSEスコア)は変動しません」とも明記されています。つまり、回によって問題の難易度が違っても、統計的な処理(Item Response Theory)によって、同じ級であれば合格に必要なスコアの基準そのものは固定されているということです。

「準1級はB2」は級の合格とスコアのどちらで決まるのか

ここが、保護者の方にとってもっとも分かりにくく、かつ誤解しやすいところです。「準1級に合格した=CEFRのB2」という説明を見かけますが、正確には次の2段階で決まっています。

  1. まず、4技能(Reading・Listening・Writing・Speaking)をすべて受験し、その合計である「4技能総合スコア」を出す
  2. そのスコアが、上で示した対照表のどの範囲(C1〜A1)に入るかで、CEFRが判定される

級の合格・不合格は、この4技能総合スコアとは別に、一次試験(リーディング・リスニング・ライティングの合計)と二次試験(スピーキング)それぞれに設定された合格基準スコアで決まります。つまり「級に合格するためのスコア」と「CEFRの帯を決めるためのスコア」は、別の物差しです。

ただし、この2つには接点があります。日本英語検定協会「英検CSEスコアとは」のCEFR説明には、4技能総合スコアでCEFRが表示されなくなる境目として、次の数値が示されています。

受験した級4技能総合スコアがこの数値未満だとCEFR非表示
1級2304(準1級の合格基準スコア)
準1級1980(2級の合格基準スコア)
2級1728(準2級の合格基準スコア)
準2級プラス1550

つまり、1級を受けても、4技能総合スコアが準1級の合格基準スコアである2304に届いていなければ、CEFRそのものが表示されません。ここで名前が出てくる「2304」「1980」「1728」という数値は、文部科学省の対照表を英検の4技能総合スコアに置き換えたときの、各級の合格基準スコアそのものです。同じ資料から、3級と1級の合格基準スコアも含めて並べると、次のようになります。

4技能総合の合格基準スコア(固定)
1級2630
準1級2304
2級1980
準2級1728
3級1456

この数値を、さきほどのCEFRの範囲表と重ねてみると、次のことが分かります。準1級の合格基準スコアは2304で、これはB2の範囲(2300〜2599)のすぐ内側です。2級の合格基準スコアは1980で、B1の範囲(1950〜2299)のすぐ内側です。1級は2630で、C1の範囲(2600〜3299)のすぐ内側、3級は1456で、A1の範囲(1400〜1699)の内側にあたります。

つまり「準1級はB2」という対応が成り立つ理由は、CEFRの帯そのものが準1級を基準に決められているからではなく、英検側が各級の合格基準スコアを設計する際に、その級で目指すCEFRの帯の下限をわずかに上回る位置に合格ラインを置いているからです。準1級の場合、合格基準スコア2304とB2の下限2300の差はわずか4点しかありません。ぎりぎりで合格した場合と、大きく上回って合格した場合の両方が、同じ「B2」という帯に入る一方で、その差はほとんどないということです。合格そのものは「級」という単位の合否ですが、CEFRの帯を決めているのは、あくまで4技能総合スコアという「点数」であることを、区別して理解しておく必要があります。

4技能をすべて受けないとCEFRは表示されない

もう一つ、保護者の方が誤解しやすい点があります。「英検2級に合格した」という事実だけでは、CEFRの帯は分かりません。日本英語検定協会は「4技能すべてを受験しないと『4技能総合CEFR』は表示されません(一次試験の成績のみでは表示されません)」と明記しています。

英検は、一次試験(リーディング・リスニング・ライティング)に合格しないと二次試験(スピーキング)を受けられない仕組みです(2024年度からのS-CBT等、方式によって受験順が異なる場合があります)。二次試験まで受けて初めて4技能がそろい、4技能総合スコアが算出され、CEFRが判定されます。また4級・5級は、従来型ではリーディングとリスニングの一次試験のみで級の認定が行われ、ライティングを含まないため、CEFRとの対照表そのものの対象外になっています。

技能別(Reading・Listening・Writing・Speaking)のCEFRレベルについても、2022年度以降は表示されるようになったと日本英語検定協会は説明しています。技能ごとの具体的なスコアの境目は、出典元の表組みが複雑で、この記事内で数値を再現すると誤りが生じる可能性があるため、正確な数値は「英検CSEスコアとは」のページで直接ご確認ください。ここでは「4技能総合」以外に「技能別」のCEFRもあるという事実だけを、確実な情報としてお伝えします。

なぜ保護者が知っておくとよいのか——大学入試や学校の目標設定で使われる帯

CEFRの帯そのものは、英検の級やスコアより抽象的な概念です。それでも保護者の方が知っておく意味があるのは、次の2つの場面でこの「帯」が実際に使われているからです。

一つは大学入試です。総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜などで、英語力の証明として英検のスコアやCEFRの対応レベルを出願資格や加点の基準に使う大学があります。文部科学省の対照表は、もともと2019年度まで検討されていた「大学入試英語成績提供システム」(英検・TEAP・IELTSなど複数の民間試験の結果を、CEFRの帯を介して大学入試に活用しようとした仕組み)のために整理された経緯があります。このシステム自体は2019年に実施見送りとなりましたが、各大学が独自にCEFRの帯を出願資格の基準として使う動きは、その後も残っています。個別の大学がどの帯を要求しているかは大学・学部ごとに異なるため、志望校の募集要項を確認することが前提になりますが、その募集要項に「CEFR B2相当」といった書き方が出てきた場合に、「それが英検のどの級のどのあたりに相当するか」を、この記事の対照表で確認できます。

もう一つは、学校や自治体が英語教育の目標を示すときです。文部科学省は、外国語教育の政策資料の中で、生徒の英語力の目標をCEFRの帯(例えばA2レベル相当)で示すことがあります。学校の授業や家庭での学習計画を考える際、「今、CEFRでいうとどの段階にいるか」を把握しておくと、英検の級だけを見るより、読む・聞く・書く・話すのどこに伸ばす余地があるかを具体的に捉えやすくなります。

いずれの場面でも、CEFRの帯は「英検に合格したかどうか」という一点だけでなく、4技能のバランスを含めた英語力全体を確認するための補助的な指標として使われている、という位置づけで捉えておくと実情に近くなります。

対照表は毎年同じではない——いつ時点のものかを必ず確認する

この記事で示した英検CSEスコアとCEFRの範囲(C1は2600〜3299、B2は2300〜2599など)は、文部科学省が2018年(平成30年)3月に公表した対照表にもとづく数値です。文部科学省はその後、2019年(令和元年)8月にも、大学入試英語成績提供システムに参加予定だった試験を対象に対照表を再整理したPDFを公表しています。両方の資料を確認したところ、英検の4技能総合スコアとCEFRの範囲の数値そのものに変更はありませんでしたが、対象となる試験の名称(当時の「英検2020 1day S-CBT」など、現在は名称が変わっている試験区分を含む)や、対象試験の増減には変更がありました。

この対照表は、試験団体からの検証結果の報告にもとづいて文部科学省が集約するという性質のものなので、将来的に試験内容やスコアの尺度が変われば、対照表そのものが改定される可能性があります。学校の資料やインターネット上の解説記事でCEFRと英検の対応を見かけた場合は、その資料が「いつ時点の対照表」にもとづいているかを確認することをおすすめします。この記事の数値は、2026年9月8日時点で文部科学省と日本英語検定協会が公開している資料の内容にもとづいています。

士心塾では

士心塾オンライン校では、英検の級の合格そのものを最終的なゴールにするのではなく、読む・聞く・書く・話すの4技能をバランスよく伸ばすことを大切にしています。CEFRという物差しが示しているのも、まさにこの4技能の総合力です。級の合否だけでなく、英検CSEスコアや、今回ご紹介したCEFRの帯を、今の実力を客観的に把握するための一つの手がかりとして活用いただければと思います。

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