英検の二次試験の答え方には、級を問わず共通する土台があります。協会が「何を見て評価するか」を公表しているからです。3級から準1級まで、評価の観点として書かれている言葉は同じです。ここでは、その公表されている観点から逆算して、どの級でも共通する答え方の基本を整理します。級ごとの課題の違いは、そのあとに乗せるものです。
出典:公益財団法人 日本英語検定協会「3級の試験内容・過去問」(2026年9月9日確認)
答え方を決める前に、評価の観点を見る
二次試験の答え方を考えるとき、いちばん先に見るべきものは、協会が公表している評価の観点です。推測ではなく、公式ページに書かれています。
3級から準1級まで、二次試験の欄には次の言葉が並んでいます。応答内容、発音、語い、文法、語法、情報量、積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度など。準1級だけ、この先頭に「ナレーション」が加わります。
3級も、準1級と同じ言葉が並んでいます。級が上がると観点が増えるのではなく、観点は同じまま、課題の中身が難しくなるという作りです。
この一覧から読めることは、はっきりしています。評価されるのは「正解したかどうか」ではありません。どれだけの内容を、どれだけ英語らしく、どれだけ前に出て話したかです。答え方の基本は、すべてここから導けます。
質問の数は、級で決まっている
質問がいくつあるかは、級ごとに公表されています。数が分かっていれば、当日に「あと何問か」を数えずに済みます。
| 級 | 面接の時間と質問の数 |
|---|---|
| 3級 | 約5分/No.1〜No.5の5問(音読30語程度あり) |
| 準2級 | 約6分/No.1〜No.5の5問(音読50語程度あり) |
| 準2級プラス | 約7分/No.1〜No.4の4問(音読55語程度あり) |
| 2級 | 約7分/No.1〜No.4の4問(音読60語程度あり) |
| 準1級 | 約8分/No.1〜No.4の4問(音読はなく、2分間のナレーション) |
3級と準2級は5問、準2級プラス以上は4問です。質問の数が減っているのに時間が長くなる——ここに、級が上がるときの本当の変化があります。1問あたりに求められる分量が増えている、ということです。
出典:同「準2級の試験内容・過去問」/同「準2級プラスの試験内容・過去問」/同「2級の試験内容・過去問」/同「準1級の試験内容・過去問」(いずれも2026年9月9日確認)
「問題カードを見てよい」のは、どこまでか
ここは知らないと損をするところです。協会は、カードを見てよい範囲をはっきり書いています。
3級・準2級では、パッセージについての質問(No.1)とイラストについての質問(No.2、No.3)に答えるとき、問題カードを見てかまいません。No.3の後に、面接委員から「問題カードを裏返すように」と指示があり、それ以降は見ずに答えます。
準2級プラス・2級も同じ形です。No.1とイラストの展開説明(No.2)まではカードを見てよく、そのあと裏返します。準1級は、Q&Aに答える際にカードを見てかまいません。
つまり、前半はカードに答えの材料があり、後半は自分の中から出すという構成です。準備の時間をどこに割くかは、これで決まります。カードを見てよい問いは、当日その場で処理できます。手元に何も無い問いのほうを、先に練習しておくのが理にかなっています。
もうひとつ。黙読の時間は3級・準2級・準2級プラス・2級のいずれも20秒と公表されています。準1級はナレーションの考慮時間が1分間です。この秒数は当日に交渉できるものではありません。20秒で何を読み取るかを、事前に決めておく必要があります。
聞き返しは、減点になりません(ただし条件がある)
これは、当社で最もよく聞かれる不安です。答えは公表されています。
協会は各級のページに、同じ文言でこう書いています。「質問が聞き取れなかった場合など、自然な流れの中で行われた『聞き返し』なら、減点の対象にはなりません。」
ただし続きがあります。「不自然に行われたり、くり返し聞き返したりした場合は、減点の対象になります。」
読み方はこうです。聞こえなかったときに一度聞き返すのは、想定されている行動です。避けるべきなのは、聞こえているのに時間稼ぎで聞き返すことと、何度も繰り返すことです。
ですから、聞き返しの一言は用意しておくものです。考えてから作る言葉ではありません。1つだけ決めて、口に馴染ませておく。それで、この不安はほぼ解消します。
黙るより、言い直して進む
もうひとつ、公表されている重要な一文があります。「質問に対して答えている途中で、口ごもるなどして応答が滞る場合には、次の質問に進むことがあります。」
これも各級に共通して書かれています。つまり、詰まって黙り込むと、その問いは終わってしまう可能性があるということです。面接委員が待ってくれる保証はありません。
逆に言えば、完璧でなくても、言葉が続いている限りその問いは終わらないということでもあります。言い直してよい。単語を簡単なものに替えてよい。文を短く切り直してよい。
評価の観点に「積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度」が入っているのも、ここに関わります。沈黙は、この観点で示せるものが何も無い状態です。不完全な英語のほうが、沈黙より示せるものが多い。答え方の基本として、これがいちばん大事です。
一言で終わらせない——情報量という観点
評価の観点には「情報量」が入っています。ここから直接に導けることがひとつあります。Yes や No だけで終えると、情報量として示せるものがありません。
基本の形は単純です。答えを言う。理由か具体例を1つ足す。これで2文になります。文の数を目標にするのではなく、「言い切ったあとに、もう一言足す」という動作を癖にするほうが確実です。
ただし、長ければよいわけでもありません。準1級のナレーションは2分間と決まっており、それを超えると途中で中止させられると公表されています。時間や分量が決まっている課題では、その枠に収めることも観点のうちです。
級ごとの目安としては、質問の数が5問から4問に減り、時間が5分から8分に伸びることが手がかりになります。上の級ほど、1問に求められる分量が増える。これは公表されている数字から読み取れることです。
面接室に入ってから出るまで、順番は公表されている
答え方を練習する前に、順番を頭に入れておくと落ち着きます。協会は各級のページで、入室から退室までを番号付きで公開しています。
3級・準2級であれば、入室、面接カードを渡す、着席、氏名と級の確認と挨拶、問題カードを受け取る、パッセージの黙読20秒、音読、No.1、No.2とNo.3、問題カードを裏返す、No.4とNo.5、問題カードを返す、退室——の13の手順です。
細かいところまで書かれています。音読は英語のタイトルから読むこと。面接中はメモ・写真撮影・録音をしてはいけないこと。終わったら問題カードを面接委員に返してから退室すること。退室後は控室に戻らず、待機中の受験者と話さずに退場すること。
準2級プラス・2級では、イラストの展開説明(No.2)の前に考慮時間が20秒与えられ、言い出し部分は問題カードに印刷されています。準1級では、ナレーションの考慮時間が1分、ナレーション本体が2分間です。
ここまでは、当日その場で知る必要のないことです。先に読んでおけば、当日は英語だけに集中できます。
級が上がると、答え方の重心が「描写」から「意見」へ移る
各級の課題を並べると、答え方の重心が動いていくのが分かります。
| 級 | 受験者自身に向けられる問いの中身 |
|---|---|
| 3級 | 日常生活の身近な事柄についての質問に答える(2問) |
| 準2級 | カードのトピックに関連した内容1問と、日常生活の身近な事柄1問 |
| 準2級プラス・2級 | ある事象・意見について自分の意見を述べる1問と、日常生活の一般的な事柄についての意見1問 |
| 準1級 | イラスト関連1問、カードのトピックに関連した内容2問、社会性のある内容1問 |
3級は「答える」、準2級プラス以上は「意見を述べる」と書き分けられています。この一語の違いが、答え方の違いです。
3級・準2級の段階では、事実を短い文で正確に言えれば足ります。準2級プラス以上では、立場を決めて理由を付ける必要があります。同じ「答え方の基本」でも、上の級では理由を用意する型を先に持っておかないと、その場では作れません。
出典:同「各級の審査基準」(2026年9月9日確認)
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