英検の面接で質問が聞き取れなかったとき、聞き返してよいかどうかについて、協会が明記した記述は確認できませんでした。ただし、準2級以上の評価の観点には「積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度」と「情報量」が挙げられています。黙ったままでは、どちらの観点にも何も示せません。ここでは、公式に確認できたことと、そこから読み取れることを分けて整理します。
出典:公益財団法人 日本英語検定協会「準2級の試験内容・過去問」(2026年9月9日確認)
聞き返してよいのかは、明記されていない
まず、確認できたことと、できなかったことを分けます。
協会の試験内容のページ、よくある質問のページを見ましたが、「質問が聞き取れないときは聞き返してよい」あるいは「聞き返してはいけない」と書かれた記述は見当たりませんでした。回数の上限についても同様です。
ですから、この記事で「何回まで大丈夫です」といった断定はいたしません。確認できないことを、確認できたことのように書くわけにはいかないからです。
その代わり、公表されている評価の観点から何が読めるかを見ていきます。
観点から読めること
準2級・準2級プラス・2級の解答形式の欄には、評価の観点として「応答内容、発音、語い、文法、語法、情報量、積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度などの観点で評価」と書かれています。準1級では、この並びの先頭に「ナレーション」が加わります。
ここから読めることは2つあります。
| 観点 | 沈黙したときに起きること |
|---|---|
| 情報量 | 何も言っていないので、情報が出ていない |
| 積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度 | 働きかけが示されていない |
つまり、黙ったままでいることは、複数の観点で何も示せない状態です。一方、聞き返すという行為は、少なくとも「やりとりを続けようとしている」ことを示します。
もちろん、聞き返しが加点されると協会が書いているわけではありません。あくまで、公表されている観点の言葉から読み取れる範囲の話です。
出典:公益財団法人 日本英語検定協会「2級の試験内容・過去問」/同「準1級の試験内容・過去問」(いずれも2026年9月9日確認)
聞き返す言い方(当社が作った例)
協会の問題や模範解答を転載することはできませんので、以下は当社で用意した例です。本番の問題ではありません。型として使ってください。
| 場面 | 言い方(当社作成の例) |
|---|---|
| もう一度言ってほしい | Could you say that again, please? |
| ゆっくり言ってほしい | Could you speak more slowly, please? |
| ひとことだけ聞き取れなかった | Sorry, what does 〜 mean? |
| 質問の意味を確かめたい | Do you mean 〜? |
覚えるのは、この4つで足ります。大切なのは数ではなく、詰まった瞬間に口から出るかどうかです。face to face の場面で、頭の中で文を組み立ててから言おうとすると、そのあいだに沈黙が生まれます。
ですから、練習の目標は「言えるようになること」ではなく「考えずに出ること」に置いてください。声に出して、何度も繰り返す。それだけです。
何度も聞き返すとどうなるか
回数についての記述は、公表されている資料からは確認できませんでした。「何回まで」という基準は示されていません。
ただ、ひとつ確かなことがあります。試験時間は級ごとに決まっているということです。3級で約5分、準2級で約6分、準2級プラスと2級で約7分、準1級で約8分。聞き返すたびに、その時間が使われます。
ですから、当社では次のように考えています。1回目は聞き返す。2回目も聞き取れなかったら、聞き取れた部分から答えを組み立てる。これは協会の指示ではなく、当社の指導上の考え方です。
質問が完全に分からなくても、聞き取れた単語がひとつでもあれば、そこから答えを作れることがあります。何も言わないより、部分的にでも答えるほうが、応答内容と情報量の両方に何かを残せます。
お子さまと練習される場合、ここは家庭でもできます。わざと早口で質問して、聞き返させる。それだけです。聞き返すこと自体を、失敗ではなく手順として扱う——この経験があるかどうかで、当日の動きが変わります。
とくに小学生の場合、「分からないと言ってはいけない」と思い込んでいることがあります。分からないときに黙るのは、真面目さの表れでもあります。ですから、聞き返すことは正しい行動だと、あらかじめ伝えておいてください。公表されている観点に沈黙を評価する記述はなく、逆に「積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度」が挙げられています。
聞き返す以外の手——言い換える
詰まる場面は、質問が聞き取れないときだけではありません。言いたい語が出てこないときも同じように止まります。
ここで有効なのが、知っている言葉で言い換えることです。単語そのものが出てこなくても、それが何をするものか、どんなものかを説明すれば伝わります。
この力は、単語を増やすことでは身につきません。持っている単語で回り道をする練習で身につきます。日ごろから、思い出せない語に出会ったときに辞書を引く前に一度言い換えてみる。それだけで変わります。
言い換えの型も、数は要りません。それが何をするものかを言う(It’s something you use to 〜.)、どこにあるものかを言う(It’s a place where 〜.)、どんな人かを言う(It’s a person who 〜.)。この3つがあれば、たいていの名詞は説明できます。以下はいずれも当社が用意した型で、本番の問題ではありません。
もうひとつ、意外に効くのが言い直しです。文の途中で間違いに気づいたとき、そのまま進むより、短く言い直すほうが整います。日本語で話すときにも自然にしていることですが、英語になると「間違えたら終わり」と考えて固まってしまう方が多くいらっしゃいます。評価の観点に「積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度」が挙げられている以上、言い直しは観点に沿った振る舞いだと読めます。
当社が無料で公開している単語教材には、単語だけでなく例文と音声が付いています。単語を単独で覚えるのではなく、文の中で聞いて言うようにしておくと、いざというときに文ごと出てきやすくなります。
級ごとに、詰まりやすい場面が違う
どの級でも聞き返しは起こりますが、起きやすい場面は級によって違います。
| 級 | 詰まりやすいところ |
|---|---|
| 3級 | 自分自身についての2問目(続きの質問がある) |
| 準2級 | カードのトピックに関連した質問(初めて意見を求められる) |
| 準2級プラス・2級 | 3コマのイラストの展開説明(途中で話が途切れる) |
| 準1級 | 4コマのナレーション2分と、社会性のある内容の質問 |
パッセージについての質問は、どの級でも手元に答えの材料があります。詰まりやすいのは、材料が手元に無い問いのほうです。準備の重点も、そちらに置くのが理にかなっています。
面接室でのやりとりの間合いは、協会が「バーチャル二次試験」として音声つきのアニメーションで公開しています。級ごとのページがありますので、一度見ておくと想像しやすくなります。
出典:公益財団法人 日本英語検定協会「3級の試験内容・過去問」/同「英検バーチャル二次試験」(いずれも2026年9月9日確認)/同「試験日程」(2026年度第2回の二次試験は11月8日・11月15日。2026年9月9日確認)
士心塾では
士心塾では、聞き返しの言い方を、面接の準備のいちばん最初に扱います。英語の中身よりも先です。
理由は単純で、これが使えないと、そのあとの準備がすべて出せなくなるからです。どれだけ答えを用意していても、質問が聞き取れなかった時点で止まってしまえば、用意したものは出番がありません。
練習は、覚えることではなく、反射にすることを目標にしています。授業では、生徒が声に出したものを録音して残し、前の週と聞き比べられるようにしています。詰まった箇所と、そこで何も言えなかったことは、録音を聞けば本人にはっきり分かります。分かれば、そこで出す一言を決めておけます。
士心塾の授業で使っている単語と例文(5級〜準1級・10,160語)を、音声・録音とテストのアプリ・印刷用プリントつきで無料公開しています。英検 無料教材の全体/3級の単語一覧/準2級の単語一覧/2級の単語一覧
