埼玉県の公立高校は、令和8年度入試まで、英検を選抜基準の中にはっきり書いていました。全日制の県立・市立131校の選抜基準を1校ずつ数えたところ、128校が「英語検定」を名前を挙げて評価対象にしていました。ただし令和9年度入試(2027年2月実施)からは調査書の記載項目そのものが変わり、この枠は無くなります。この記事は、埼玉県教育委員会が公表している選抜基準の原本と、文部科学省の調査だけを使って、いま何がどうなっているかを整理したものです。
出典:埼玉県教育委員会「令和8年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における各高等学校の選抜基準」/同「選抜基準の見方」/同「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施基本方針」/同「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜に関する情報」/文部科学省「令和7年度『英語教育実施状況調査』の結果について」(いずれも2026年9月8日に確認)
131校のうち128校が、英語検定を名指しで書いていた
埼玉県教育委員会は、公立高校の入試について「選抜基準」を高校ごとに公表しています。どの資料をどう点数にするかを、あらかじめ全部書き出したものです。令和8年度入試(2026年2月実施)ぶんは、全日制・定時制あわせて154の基準がPDFで公開されています。
この154本を1本ずつ開いて、英語検定について何が書かれているかを数えました。全日制の県立高校と市立高校131校ぶんの結果が、次のとおりです。
| 選抜基準に書かれていたこと | 校数 |
|---|---|
| 英語検定を名前を挙げて評価対象にしている | 128校 |
| 資格・検定は評価するが、種目を指定していない | 3校 |
| 資格・検定にまったく触れていない | 0校 |
種目を指定していなかった3校は、朝霞西高等学校、狭山経済高等学校、蓮田松韻高等学校です。それぞれ「資格・検定の記録」「各種検定の資格取得状況について」「取得資格、課外活動等のうち顕著なものを評価する」と書いており、英語検定を除外しているわけではありません。
つまり、令和8年度入試の時点では、埼玉県の全日制公立高校で、資格や検定をまったく見ない高校は1校もありませんでした。
「その他の項目」という枠に入っていた
英語検定が置かれていたのは、調査書の中の「その他の項目」という枠です。埼玉県教育委員会が公表している「選抜基準の見方」には、調査書の得点が3つに分かれることが図で示されています。
| 調査書の中身 | 何が入るか |
|---|---|
| 学習の記録の得点 | 9教科5段階の評定 |
| 特別活動等の記録の得点 | 生徒会役員、委員長、学級委員など |
| その他の項目の得点 | 部活動の実績、資格取得など |
「選抜基準の見方」では、この「その他の項目の得点」の説明として「○資格取得等 以下の資格を取得しているものに得点を与える。」という例が挙げられています。ここに各高校が具体的な検定名を書き込む形でした。
ここで気をつけたいのは、「その他の項目」の満点は英検だけの点数ではないということです。同じ枠に部活動の実績も入ります。実際に131校を見ると、この枠の満点は20点から180点まで開いていました。最も小さいのが芸術総合高等学校の20点、最も大きいのが春日部高等学校の180点です。
何級から評価されていたか
128校のうち、英語検定の級が一意に読み取れたのは90校でした。残る38校は「英語検定、漢字検定、数学検定等」のように複数の検定を並べて書いており、英語検定だけの級を確定できないため、ここでは数えていません。
級が確定できた90校の内訳です。
| 選抜基準に書かれていた級 | 校数 |
|---|---|
| 3級以上 | 39校 |
| 準2級以上 | 26校 |
| 4級以上 | 19校 |
| 5級以上 | 3校 |
| 2級以上 | 3校 |
いちばん多いのが3級以上です。中学校卒業程度とされる級が、そのまま基準として使われていたことになります。2級以上と書いていたのは、浦和高等学校、大宮高等学校、春日部高等学校の3校でした。
なお、この90校という数え方は、あくまで「原本の1行から級を一意に読み取れた高校」の数です。全128校の分布ではありません。
東松山とその周辺の高校では、どう書かれていたか
士心塾の教室がある東松山市と、その周辺から通う生徒が多い高校について、令和8年度の選抜基準に書かれていた内容を原本のまま挙げます。かっこ内は「その他の項目」の満点です。くり返しになりますが、この満点は部活動なども含んだ枠の合計で、英語検定だけの点数ではありません。
| 高校 | 選抜基準に書かれていた級(その他の項目の満点) |
|---|---|
| 県立松山高等学校 | 英語検定準2級以上(110点) |
| 県立松山女子高等学校 | 英語検定準2級以上(70点) |
| 県立滑川総合高等学校 | 英語検定3級以上(50点) |
| 県立小川高等学校 | 英語検定3級以上(60点) |
| 県立坂戸高等学校 | 英語検定準2級以上(38点) |
| 県立川越高等学校 | 英語検定準2級以上(29点) |
| 県立川越女子高等学校 | 英語検定準2級以上(35点) |
| 県立熊谷高等学校 | 英語検定準2級以上(55点) |
この地域では準2級以上と書く高校が目立ちます。松山高等学校の選抜基準には「○英語検定準2級以上、漢字検定準2級以上、数学検定準2級以上」とあり、熊谷高等学校には「〇英語検定準2級以上、漢字検定準2級以上、数学検定準2級以上 等」とあります。
令和9年度入試から、調査書の中身が変わる
ここからが、いま中学生のお子さんをお持ちの方にとって大事なところです。
埼玉県教育委員会が令和6年9月26日に公表した「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施基本方針」には、調査書について次のように書かれています。
「調査書の記載項目は『各教科の学習の記録』(9教科5段階の評定)、『総合的な学習の時間の記録』とする。」
令和8年度まであった「特別活動等の記録」と「その他の項目」が、記載項目に入っていません。つまり英語検定が置かれていた枠そのものが、調査書から外れます。
実際に、令和9年度の各高校の「選抜実施内容」を見ると、資格の加点欄がありません。たとえば県立豊岡高等学校の令和9年度選抜実施内容では、調査書の欄は学年間の比率と基本点だけになっています。
ただし、「資格取得の加点を廃止する」と書いた文言は、埼玉県教育委員会の公表資料の中に見つけられませんでした。確認できたのは「調査書の記載項目はこの2つとする」という書き方までです。ここは推測せず、事実だけをお伝えします。
代わりに入るのが、面接と自己評価資料
同じ基本方針には、令和9年度から全員が面接を受けることも書かれています。
「全受検生に個人面接又は集団面接を実施する。」
面接は30点満点が基本で、各高校が1倍か2倍かを選ぶため、30点または60点になります。そして受検生は「自己評価資料」を提出します。基本方針には、受検生が「これまでの自分の体験を振り返り、力を注いだことや努力をしたこと、また高等学校入学後や将来取り組んでみたいこと、自己PRなどについて、自ら考え、県教育委員会が定めた様式に記載する」とあります。
この自己評価資料は「そのものは評価せず、面接の際に参考とする」とされています。
自己評価資料の様式に「資格」「検定」という欄があるかどうかは、公表されている様式では確認できませんでした。ただ、力を注いだことを自分の言葉で書く欄である以上、英検に取り組んだ経験を書くこと自体は妨げられていません。点数の枠から、自分で語る材料へ、置きどころが変わったと読むのが正確です。
埼玉県の中3の41.5%は、すでに3級相当以上を取っている
文部科学省が毎年行っている「英語教育実施状況調査」に、都道府県別の数字が載っています。令和7年度調査(令和8年2月1日時点)の公立中学校3年生について、埼玉県の数字は次のとおりです。
| 項目 | 埼玉県の数字 |
|---|---|
| 中学3年生の人数 | 46,849人 |
| 英語の外部試験を受けたことがある割合 | 57.8% |
| CEFR A1(英検3級)相当以上を取得している割合 | 41.5% |
| 取得または相当の力があると思われる割合 | 56.8% |
この41.5%という取得率は、47都道府県の中で3位です。同じ調査の全国の数字は、47都道府県の合計から計算すると31.2%でした。埼玉県は全国より10ポイント以上高いことになります。
高校3年生についても同じ調査に数字があり、埼玉県でCEFR A2(英検準2級)相当以上を取得している割合は37.4%、全国は32.6%でした。
公立高校131校のうち128校が選抜基準に英語検定を書いていた県で、中学生の取得率が全国3位である。この2つは、おそらく無関係ではありません。制度が受験の行動をつくってきた、と見るのが自然です。
士心塾では
士心塾は、埼玉県東松山市の東松山校と、全国どこからでも受けられるオンライン校の2拠点で英語を教えています。お引き受けしているのは、英検に向けた英語の1対1指導です。授業は週240分(120分×2回、または240分×1回)で、曜日と時間を固定します。
やり方は単純です。勉強してから受けるのではなく、先に英検の受験日を決めます。日付が決まると、子どもは自分から机に向かいます。次の英検まで半年空くと熱が続かないので、間隔を空けません。受かったら、すぐ次を決める。届かなかったら、すぐ次を決める。そして英検の受験日から逆算して進めます。
士心塾の記録(2020年10月から2026年7月まで・準会場)では、3級に受かった生徒の59%が小学生、準2級に受かった生徒の94%が中学生以下でした。小学6年生で準2級に受かった生徒もいます。
入試の制度は変わります。今回のように、点数の枠が消えることもあります。ただ、英語が読めて聞けて書けるという力そのものは、制度が変わっても手元に残ります。学力検査の英語はこれからも5教科の1つですし、リスニングも含まれます。私たちが逆算して積み上げているのは、加点ではなくそちらのほうです。
士心塾の授業で使っている単語と例文(5級〜準1級・10,160語)を、音声・録音とテストのアプリ・印刷用プリントつきで無料公開しています。英検 無料教材の全体/3級の単語一覧/準2級の単語一覧/2級の単語一覧
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